生前の相続放棄
1 被相続人となる方がご存命のうちは、相続放棄はできない
結論から申し上げますと、被相続人となる方がご存命のうちに相続放棄をすることはできません。
形式的には、相続放棄をすることができるのは「相続人」ですので、相続が開始していること、すなわち被相続人がお亡くなりになっていなければできないことになります。
また、生前に被相続人となる方に相続放棄を強要されることを防ぐ目的で、生前の相続放棄はできないようになっているともいわれます。
似た制度に、遺留分の放棄、というものがあります。
遺留分の放棄は、被相続人となる方がご存命のうちにも行えます。
しかしこれは、あくまでも相続財産すべてではなく、遺留分のみを対象としたものであることに加え、要件が厳しく、裁判所による厳格な審査を経て実現するものです。
2 生前に相続放棄ができないことの問題点
被相続人となる方にめぼしい財産がなく、(多額の)負債のみが存在することが判明しているという場合もあります。
被相続人となる方が事業を営まれていて、貸金業者等から借入をし、当初は順調に返済できていたものの、大病を患い稼働できなくなり、入院や自宅療養をするに至っていたような場合などが典型です。
このような場合でも、被相続人となる方がご存命のうちは、相続放棄をすることはできません。
相続放棄は期限が非常に短く厳格であるため、本当であれば予め相続放棄をしてしまいたいところですが、準備をすることができるにとどまります。
3 生前からの準備
上記のようなケースでは、極力被相続人となる方の所有物や法律関係を減らしておくことが大切です。
不動産や自動車があるのであれば、生前に売却、贈与、廃車処理等を行っておくのが理想です(ただし、売却や贈与をする場合、詐害行為取消権を行使される可能性を考慮する必要があります)。
自宅が賃貸物件である場合、衣類や家財などは極力減らしておき、被相続人となる方が死亡した後に残置物となり得る物がないようにします。
お役立ち情報
(目次)
- 相続放棄が受理されないケース
- 相続放棄をした場合に代襲相続は発生するか
- 相続放棄をしたら他の相続人への通知は必要か
- 相続放棄はいつまで可能か
- 相続放棄と管理義務
- 相続放棄と未払いの公共料金
- 相続放棄の効果
- 相続放棄をする場合被相続人の家にある物の管理はどうするか
- 相続放棄をすると土地はどうなるか
- 相続放棄と自己破産の違い
- 相続人全員が相続放棄をするとどうなるか
- 相続放棄を弁護士に依頼することのメリット
- 相続放棄の注意点
- 相続放棄の熟慮期間
- 相続放棄をする理由や動機について
- 相続放棄と法定単純承認
- 相続放棄の必要書類について
- 被相続人の保証人の方へ
- 生前の相続放棄
- 遺言がある場合の相続放棄
- 相続放棄したかどうかを確認する方法
- 相続放棄のデメリット
- 日本橋で相続放棄を検討されている方へ
- その他の地域情報
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