被相続人の保証人の方へ

文責:所長 弁護士 石井浩一

最終更新日:2024年05月07日

1 相続債務と保証債務

⑴ 被相続人が債務を残した場合

被相続人がお金を借りたまま亡くなる場合があります。

 このように被相続人が債務者となっている場合は、相続人にその債務が相続されます。

 これが相続債務です。

 なお、相続人が複数いる場合、相続債務が可分債権であるならば、原則として法定相続割合に応じて分割されます。

 被相続人に属していた債務であれば、相続人は、相続放棄をすることで免れることができます。

⑵ 被相続人の債務の保証人になっていた場合

 相続人の方が、被相続人の債務の保証人として、債権者と保証契約をした場合、保証契約に基づく債務は、あくまでも相続人が債権者との間で締結した契約に基づく、相続人固有の債務であるためです。

2 被相続人の保証人

 相続人の方が、被相続人の賃貸住宅の家賃や病院の入院費などの保証人となっていることがあります。

 この場合、被相続人が負っていた主債務(相続債務)とは別に、相続人は保証債務という金銭支払等の債務を負うことになります。

 相続債務の履行がない場合には、保証人として相続人が保証債務の履行をしなければなりません。

 自分が被相続人の保証人になっているかどうかは、分からないことも多いです。

 相続が発生した際は、被相続人の賃貸借契約書等を調べてみる必要があります。

3 もし保証人になっていた場合の対応

被相続人の保証人になってしまっていたら、基本的には保証債務を履行する必要があります。

 被相続人が勝手に相続人の名前で署名押印をしてしまっているなどの事情でから保証人となった覚えがない場合や、だまされたり強要されたりして保証契約書を書かされたような場合は、保証契約の不成立や取消しを主張する手もありますが、実際にはかなりの困難を伴います。

 支払う場合、あくまでも保証債務の履行として金銭を支払ったこと、言い換えれば、被相続人の債務の弁済のために支払ったのではないことを領収書等に記録しておくとよいです。

 これは、法定単純承認事由に該当しないことを客観的に示せるようにするためです。

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