相続放棄のデメリット

文責:所長 弁護士 石井浩一

最終更新日:2024年11月13日

1 プラスの財産も放棄することになる

 相続放棄をすると、相続人としての立場を放棄することになります。

 そのため、亡くなった方が負債を残していたとしても、それを引き継がなくてよくなります。

 一方で、プラスの財産を遺していた場合でも、それを引き継ぐことはできなくなります。

 経済的な損得で相続放棄をするかどうか決めようと考えておられる方は、資産と負債のどちらが多いのかを見極めることが大事ということになります。

2 次順位の相続人に相続権が移る

 相続放棄をするとその人は最初から相続人ではなかったものとして扱われることになります。

 そのため、次順位の相続人がいる場合はその人が相続人になります。

 たとえば、亡くなった方の子供が全員相続放棄した場合、次は亡くなった方の親やきょうだいが相続人になり得るということになります。

 これらの方々と親戚付き合いがあり、関係も円満だという場合は特に問題ないと思います。

 しかし、たとえばおじ・おば、つまり親のきょうだいと疎遠になっている場合や、あるいは関係が悪い場合には、相続放棄することでこれらの人を相続の問題に巻き込んでしまうことになるおそれがあります。

 そのため、場合によっては事前に対応方法を考えておいた方がよいこともあるかもしれません。

 もっとも、相続放棄したことを次順位の相続人に伝えることは義務ではありません。

 詳細はこちらの記事をご覧ください。

 個々のケースに応じて、どのように対応するかを検討することをおすすめします。

3 相続放棄は原則として撤回できない

 相続放棄は、原則として撤回することができません。

 例えば、相続放棄をした後になってプラスの財産が見つかったとしても、撤回はできないということになります。

 相続放棄するかどうかについては、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内というタイトなスケジュールの中で決めなければなりません。

 めぼしい財産が無いと思って相続放棄したが 、財産の調査が十分ではなく、後から実は多額の遺産が発見されたものの相続することができなかったというケースもありえます。

 こうしたことがないよう、相続放棄を行うかどうかの判断は慎重にする必要があります。

4 死亡保険金や死亡退職金の非課税枠が使えない

 相続放棄をしていたとしても、死亡保険金や死亡退職金を受け取ることが可能です。

 しかし、相続税の非課税枠は、相続人でないと適用されません。

 そのため、相続放棄をしたことによって、死亡保険金や死亡退職金に課される相続税が増えてしまうということがあり得ます。

5 相続放棄するかどうかの判断は慎重に

 債務が圧倒的に多いという場合であれば、相続放棄することが最良の選択肢になるかと思います。

 しかし、相続放棄には、上で述べたようなデメリットもあります。

 そのため、相続放棄するかどうかを決めるにあたっては、弁護士に相談して慎重に検討されることをおすすめします。

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